木材を取り巻く外敵

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さらに詳しく 変色の原因

変色の原因

 木材の変色は、材中の化学成分(変色原因物質)が化学変化を起こして、別の色を持った成分に変わるために生じる現象です。木材に含まれている変色原因物質は種類が非常に多く、微量でも変色するため、樹種によって変色の過程は様々です。また変色を発生させる外的要因は多くあり、単独で作用したり複数で働いたりするため、変色の要因を特定するのは非常に困難です。

濃色に変わる樹種
トドマツ、シナノキ、エゾマツ、ヒノキ、ブナ、カラマツ、ケヤキ、ベイスギ、ベイツガ、レッドオーク
最初に濃くなり、後に淡くなる樹種
シウリサクラ、メラピー、レッドラワン、シタン、カリン
最初に淡くなり、後に濃くなる樹種
スギ、ベニヒ(タイワンベニヒノキ)、キリ、レッドウッド

光による変色

  • 風化した木材
    風化した木材
  •  木材に太陽の紫外線が当ると変色します。これは木材の主要成分(リグニン)が紫外線を、抽出成分(ポリフェノール類)が可視光線をよく吸収し、光化学反応を引き起こすことで変色すると考えられています。色の変化は、樹種によって濃くなるもの、薄くなるものなど様々です。

     リグニンやポリフェノール類は光化学反応により分解すると水に溶けやすい物質となるため、屋外の場合、雨水などにより木材表面から溶脱します。溶脱後に新たな木材成分が表れますが、同様に光化学反応による分解と溶脱を繰り返し、早材部を中心に風化と呼ばれる表面劣化が生じます。風化した木材は最終的には暗色化(灰色化)するとともに木材の繊維が切断され、細かいワレをともないながら劣化していきます。

     また、雨風によって運ばれる砂や土、ほこりなどは木材を傷つけ、摩耗させ風化を促進します。

  • 木材劣化のメカニズム1
  • 木材劣化のメカニズム2

熱、酵素による変色

  • 熱による変色
    熱による変色
  •  木材に高熱が加わると熱分解を起こし、酸化反応が促進されて変色します。主に熱が原因で起こる変色は人工乾燥の際によく見られる現象です。

     また生材を人工乾燥すると材の表面が褐色や黄色に変色することがあり、この現象は酵素が関係しています。

     これは材中のポリフェノール類が酸化酵素によって酸化されるためであると考えられます。この現象は、リンゴの皮を剥いてしばらくおいておくと茶色に変色するのと同じ原理です。

金属 酸 アルカリおよび薬品による変色

  • 変色した手すり
    変色した手すり
  •  鉄や銅のイオンが材中のポリフェノール類(主にタンニン)と接触すると、ポリフェノールと複合体を形成することで変色が生じます。この変色は金属汚染と呼ばれます。

     酸硬化型アミノアルキド樹脂塗料の塩酸などの硬化剤、およびユリア樹脂接着剤が木材に付着すると、赤く変色する酸汚染が発生します。また、建築中の木材にモルタルが付着した場合やセメント板に突板を貼ったときなどアルカリ成分が木材と反応して、濃暗赤色の変色が発生することがあります。これはアルカリ汚染と呼ばれます。

微生物による変色

  • 微生物による変色
    微生物による変色
  •  木材は糖類、でんぷん等微生物が自身の栄養分にすることができる成分から構成されているので、水分、温度、酸素の条件が揃えば、木材腐朽菌やカビなどの変色菌が容易に繁殖して生物汚染による変色が生じます。

     各種菌が変色を起こすのは、菌糸自身の色によるケース、菌類が代謝産物として色素を作るケース、菌類が酵素を作り木材成分を着色するケースが考えられます。

その他の原因による変色

 建築現場での木材の運搬作業など、人との接触から手垢、汗、調味料、化粧品などが付着して木材表面に変色が生じることもあります。