木材を取り巻く外敵

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腐朽(くされ)

腐朽(くされ)

  • 健全に見える木材にもたくさんの菌が付着しています。これらの大部分が木材の劣化原因となる菌類であり、生活力旺盛な土壌棲息型です。劣化のうち木材腐朽菌が引き起こす腐朽は、腐朽材の外観から褐色腐朽、白色腐朽、軟腐朽の3種類に大別されます。

褐色腐朽(赤ぐされ)

褐色腐朽は材が褐色に変化するとともに表面に縦横の亀裂が生じます。褐色腐朽の原因は担子菌と呼ばれる菌類で、木材を褐色に腐朽することから褐色腐朽菌ともいわれます。この仲間には大型のキノコ(子実体)をつくるものもあります。担子菌は木材細胞壁の構成要素のうちセルロースやヘミセルロースを分解して栄養にすることで成長、あとには菌類から変性を受けたリグニンなど褐色物質が残り、腐朽が進んだ木材は褐色になります。代表的な形態として幹ぐされ、水ぐされ、綿ぐされがあります。主要なものとしてオオウズラタケ、ナミダタケ、そして雨もりをねらうマツオウジなどがあります。
褐色腐朽は多湿な環境や、通風換気や日照採光の悪いところで大発生します。床下、地下室、水まわり部分、モルタル壁の内部、雨もりのしているところなど、建物の腐れの95%が褐色腐朽によるものです。

白色腐朽(白ぐされ)

白色腐朽は腐朽材の外観が灰白色化、もしくは退色化します。白色腐朽菌は、ほとんどが担子菌類ですが、子のう菌類に属するものもあります。白色腐朽菌は、セルロース、ヘミセルロース、リグニンの全てを分解します。腐朽が進むと、木材は柔らかく海綿状になります。
白色腐朽は羽目板、ぬれ縁、板べい、窓枠などに多発し、腐朽が進んだ木材は白っぽくなります。白色腐朽では褐色腐朽菌と比較して寒さや直射日光に強い菌が存在し、乾湿の変化がはげしいところや寒暖差の大きいところでもよく生育・繁殖します。カワラタケとカイガラタケの2つが有名です。
褐色腐朽の発生は塗料を塗ることである程度はおさえられますが、白色腐朽にはほとんど無効だと言われています。

軟腐朽(軟ぐされ)

  • 軟腐朽では、腐朽材は黒褐色に変化します。軟腐朽菌は褐色腐朽菌や白色腐朽菌が腐朽できないような高含水率の木材を好み、セルロース、ヘミセルロースを分解し、リグニンも多少分解します。軟腐朽の進行により木材表面は柔らかくなり、指でおさえるとチーズのような手ざわりになります。
    軟腐朽はクーリングタワーのバッキング材、杭丸太、ボート、紙パルプ用のチップ材、杭の土壌部、台所や水槽などの水場周辺など、常時湿潤状態の場所で発生します。
    代表的なものは、子のう菌類のケトミウム属、トリコデルマ属などが知られています。褐色腐朽菌や白色腐朽菌が生育できないような高含水率(100%以上)の木材を好んで侵し、アルカリ(pH8~10)に強く、暑さにも強い(38℃くらいまで生育できる)と言われています。

参考文献 木材保存学入門 改訂3版 平成24年 公益社団法人 日本木材保存協会