木材を取り巻く外敵

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さらに詳しく カビ汚染

木材のカビ汚染

「カビ汚染」は大きく分けて「表面汚染」と「辺材変色」の二つに分類されます。

 木材に「表面汚染」を起こすのは、真菌類のうち接合菌、子のう菌、不完全菌に属す菌類で一般的にカビ(糸状菌)と呼ばれています。これらの菌類は木材細胞中のデンプンや糖類しか栄養源として利用できないため、木材の強度的性能を担う成分には影響を及ぼすことはなく、大きな質量減少を引き起こすことはありません。
空気中や土中には膨大な数と種類のカビが生息、浮遊しています。環境条件(栄養素・水分・酸素・温度)が整えば、どのような場所でも生育を開始します。
木材の場合は、高含水率の状態や長期間高湿度の環境にあるときカビの生育が見られます。土、ほこり、ごみ、人間の手垢などがついた木材にもカビの生育が顕著に現れます。また近年の気候変動で以前にもまして高温多湿に環境が変化し、カビが非常に生育しやすい状況になっています。
表面汚染の原因となるカビの生育を完全に予防するには塗装を施すだけでは不十分な場合があります。木材を利用する際に建造物の構造や使用環境に注意し、定期メンテナンスを実施することが重要です。

 「辺材変色」は、伐採後林内に放置された丸太、林内や水中から集められて土場に積み上げられた丸太にカビ(辺材変色菌)が侵入して変色しますが、時には製材品にも起きることがあります。青変菌による青変が一般的ですが、生育する菌種により褐変、緑変、赤変することもあります。デンプンや糖類を栄養源としているので木材の強度に対してほとんど影響を与えませんが、衝撃曲げ強度は若干低下することがあります。
カビの菌糸は仮道管や道管の中を伸びて、カビの生産する色素などによる変色が木材組織内部に浸透するため、表面を研削したり漂白剤を用いたりしても容易に除去することができません。

(参考文献 木材保存学入門 改訂3版 平成24年 公益社団法人 日本木材保存協会)

表面汚染の除去方法

 漂白剤として5%程度の次亜塩素酸ナトリウム水溶液を塗布することで除去します。除去後は漂白剤によるアルカリ焼けを回避するため、漂白剤が残らない様にしっかりと水洗します。その後5%程度のクエン酸水を塗布して中和処理を行うことでアルカリ焼けをさらに効果的に予防することが可能です。
 再塗装は数日間木材をよく乾燥させ、漂白で荒れた表面を粗目のサンドペーパー等(♯120~以下)で綺麗にしてから実施します。

※ 作業前にSDSをよく読み、作業時には手袋や保護眼鏡を着用ください。

カビ取り編