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JISK1571木材保存剤の性能試験方法及び性能基準を参考に試験を行なった。
2×4cmのスギおよびブナ木片に110g/m²(標準塗布量の約2/3)のキシラデコール(ピニー)およびキシラデコールフォレステージ(ピニー)を塗装した。それらと無処理木片を滅菌し、下記の腐朽菌を培養したシャーレの上に置き、26°Cで12週間培養した。
使用した腐朽菌:スギ-オオウズラタケ(Tyromyces palustris)、ブナ-カワラタケ(Coriolus versicolor)
試験開始より12週間後のスギ材
キシラデコール、キシラデコールフォレステージを塗装していないスギはオオウズラタケの菌糸に覆われている。
試験体の質量減少率
※参考:JIS K 1571の基準では質量減少率が3%未満であれば 防腐性能があると評価される。
無処理木片が菌体に覆われているのに対し、キシラデコールおよびキシラデコールフォレステージを塗装した木片に菌糸は認められなかった。また、無処理木材が腐朽菌により加害され、質量が大きく減少しているのに対し、キシラデコールおよびキシラデコールフォレステージを塗装した木片の質量減少率は小さく、腐朽菌による分解がほどないことがわかる。
(社)日本木材保存協会規格第2号1992木材用防かび効力試験方法を参考に試験を行なった。
2×5cmのブナ木片に80g/m²(標準塗布量の約半分)のキシラデコール(ピニー)およびキシラデコールフォレステージ(ピニー)を塗装した。それらと無処理木片を滅菌し、寒天培地に乗せ、下記の5種混合菌を吹き付けて、26°Cで4週間培養した。
使用した菌:Aspergillus niger, Penicillium funiculosum, Aureobasidium pullulans, Gliocladium virens, Rhizopus stolonifer
試験開始4週間後のブナ材
無処理のブナ材の表面にはAspergillus nigerと思われる菌糸が見える。
参考:日本木材保存協会規格で評価した結果
評価値0:試験体にカビの発育が全く認められない
評価値1:試験体の側面にのみカビの発育が認められる
評価値2:試験体の上面の面積の1/3以下にカビの発育が認められる
評価値3:試験体の上面の面積の1/3以上にカビの発育が認められる
無処理木片が菌体に覆われているのに対し、キシラデコールおよびキシラデコールフォレステージを塗装した木片に菌糸は認められなかった。
(社)日本木材保存協会規格JWPS-IW-G.1『接着剤混入処理用木材防虫剤の試験方法及び性能基準』の幼虫試験を参考に試験を行なった。
縦60mm×横50mm×厚さ10mmのミズナラ辺材に、縦5個×横2個の直径3mmの穴をあけたアルミ板を置き(写真A)、各穴にヒラタキクイムシの幼虫(写真B)を放虫した後、エサとなる木粉を詰めた。同サイズ(60×50×10mm)のミズナラ辺材を重ね合わせ、輪ゴムで固定し、26°Cで6ヶ月保管した(写真C)。キシラデコールはミズナラ辺材に標準塗布量(165g/m²)を塗装したものを使用した。評価は、幼虫が成虫となって試験体から脱出した頭数で行う。脱出した個体がなければ、ヒラタキクイムシに対する防虫効果があると判断できる。
写真A
写真B
写真C
無処理では成虫化して脱出した個体が観察された。
木片には脱出孔が観察された。X線でも食い進んだ跡が観察された。
脱出孔
X線写真
キシラデコール※塗装の木片からは脱出孔は観察されない。
試験体(左)と脱出孔のある無処理試験体(右)
※本試験は、キシラデコールのみの試験結果です。
考察
JWPS規格で無処理板が15%以上の脱出数で試験が有効になることから、キシラデコールはヒラタキクイムシに対する防虫効果ありと判断できる。
(※防虫効果とは加害されていない木材への予防効果であり、既に加害された木材から駆除できるわけではない)
15×7cmのスギ木片に80g/m²(標準塗布量の約半分)のキシラデコール(やすらぎ、ピニー、チーク、パリサンダ)およびキシラデコールフォレステージ(ピニー、チーク、パリサンダ)を塗装した木片と無処理木片を、水平から30°傾けた南向きの暴露台(大阪市内)に設置し、6~12ヶ月屋外暴露を行った。同角度で12ヶ月の試験結果は垂直面でおおよそ2年~3年程度に相当する。
無塗装の杉板は暴露後数ヶ月のうちに白く色あせ、灰化が進んだ。キシラデコール、キシラデコールフォレステージを塗布した杉板は暴露後12ヶ月(垂直面2~3年相当)でも、塗装色は美しく保たれた。 ※この試験はあくまでも一例であり、環境条件、木材の種類や状態、塗装条件、建築構造等により状態は異なる。
新築時
キシラデコール#102ピニーを塗装したログハウス(兵庫県市島町)の外壁の5年後の経年変化を確認しました。対象のログハウスは比較的気候が温暖な9月に標準塗装仕様通りに施工されたものです。
施工後5年経過
長期にわたって緩やかに劣化が進行し、顔料の離脱による耐候性の低下、汚れによる美観の低下は見られるものの、木材の強度低下につながるような腐れ、カビの発生、木の害虫による食害は見られませんでした。